お疲れ様です。柳井です。最近チーム選手権に参加し、光栄にも1番ボードを担当しました。
意外と活躍できるのでは、と思っていましたが普通に厳しかったですね。たくさんのチームがあるとはいえ、1番ボードで対戦した方は強い人ばかりでした。初日は敗戦を重ねたので、かなり張り切っていた身としては凹みました。
チームメイトに助けられたことが多々あった大会ですが、全貌は他の会員が文才あふれるブログを載せてくれているようなので私は簡潔に済まそうかと思います。
さて、ブログ投稿する上で興味深い(後悔深い)試合はいくつもありましたが、やはり目玉はラウンド1でしょうか。
対戦相手はCM Tran Thanh Tuさん。つい先日2600を下した日本トッププレイヤーです。大谷翔平の「今日だけは憧れるのをやめましょう」を胸に挑んだわけですが、だからと言って急に勝てるような相手ではありません。では、本編へどうぞ
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YANAI YUYA (1512)* – CM TRAN THANH TU (2557)*
*レートはJCFレートです。
1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 g6 アクセルドラゴンが来ましたね。正直 2…e6を予想していたので少し驚きましたが、京大サークルのとある荒木が一時期指していたので馴染み深くもありました。5.c4 Bg7 6.Be3 Qb6 実はこの辺りですでに10分弱の時間差がありました。というのも、久々に指したというのもあって6…Qb6が来た後に7.Nc3だと…Qxb2でかなりまずい、かといって本譜のラインも黒のビショップの対角線が強くある程度は読み切って指したいところ。全部知識として知ってれば楽だったんでしょうね。
7.Nb5 Qa5+ 8.Nbc3 Nf6 ここでまたじっくり考えました。9. Bd2! Qd8 取り立てて言うほどいい手ではないかもしれませんが、9. Bd2は個人的に指せて嬉しい手でした。9.f3が直感的ですが、黒マスが弱まると同時に、c3ナイトのピンが解消できていません。9.Bd2はこれらの問題を解決すると同時に、Nd5を狙っています。黒が適当に9…Qb6?などすると、Nc7+が止められません。
10. Nd5 O-O 11. Nbc3 e6 12. Be2 ここまでは最近のShirov-Zwardonを追っているようですね。個人的にはかなり指しやすく、駒の位置も良いと思っていました。12…Nd4 個人的には反直感的で、自分には理解できない妙手か、何かしらうまく返せる手のどちらかだと考えました。13.Nxf6 Bxf6 14.Bh6?! Re8?! 13手目の狙いは半ば無理やりBh6を入れるためだったので、13…Bxf6の後はすぐに指す…つもりでしたが、14. Bh6 Bxc3+ 15. bxc3で形が悪くなることに気づきためらいました。実際それが最善だったようですが、相手もシンプルに指仕返してきたので、ここは少し安堵。
15.Nd5 Bh8このあたりは相手も消極的な手が続いたので,白は全く悪くなかったと思います。16.O-O e6 17.Nc3 d5 ここで少しパニック。最善手は18.cxd5だったそうで、自分の候補手の一段目にもありました。ただ、それをすると黒の白マスビショップが開き、クイーン、ビショップ、ナイトが白の消極的な駒組に一気に押し寄せて来れます。また、…Qh4からe4とBh6に効きがあるので放置というわけにもいかず。ひとまず、18.Be3 dxc4 19.Bxc4 Qc7 20.Bd3 確かに手損が続きますが、形としては悪くなさそう。実際、黒からわかりやすいスレットはナイト思います。
20…Bd7 21.Rc1 Qb6 22.b3 Bc6 21手目の…Qb6では、22.b3かQd2かでかなり迷いました。まぁ結果的にどちらも大丈夫なようですが、b2ポーンに対する黒マスのビショップの効きを減らす意味でb3にしました。
23.Ne2 Red8 23.Nxd4 Qxd4 この23手目で相手が長考。まぁ23…Rxd4はBe3があるから無しとして、23…Bxd4とかなり悩んでいたようです。…Qxd4に対する白の応手は割と一択だった気がするので、…Bxd4の後、黒が狙いを作れるかどうかを考えていたのではないかなと。
ここで周りを見てみると、どのボードも厳しい様子でした。なんなら自分のボードが一番拮抗していたようにも思えるので、ここは格上相手にポイントをなんとしても取りたい…と思っていたのを朧げに覚えています。
24. Bb1 Qb2 25.Qc2 Qxc2 26.Bxc2かなり何もなさそうな形になってきたので、24…Qb2は何かしらアクションを起こしたいのか…と思いつつ、交換になった後はエンドへ…
26…Bb5 27. Rfd1 Bb2 28. Rxd8+ Rxd8 29.Rd1 Rxd1+ 30. Bxd1.ここまでは黒が全てスレットを作っていたので、黒が望むがままに駒交換が進みました。31.f3?! Bd4+ 32.Kh1評価値的にはイコールに近いですが、このf-ポーン突きは良くなかったと振り返る中で反省しています。
32…f5! 33.exf5 gxf5 34.g3 e5このあたりの指し回しは明らかに白が翻弄されていました。時間も1分を切っていたので、中々きつかったです。35.b4 Kf7 36.Bb3+ Kg6 エンドが苦手だったというのもあり、正直ここはうまく考えられていませんでした。37. Bh4+ Kg6 38.Bd2 e4 39.Bd5?オーディエンスが多い中、最初の悪手(39.dxe4は…Bxe4#)
39…e3 40. Be1 b5 41.Kg2 Bc4 42.Bc6?! Bb2 43.a4 a6 44. f4 Bd1? ここは解析上イコールにするチャンスでした。45.axb5 axb5の後に 46.Bf3とし、プロモーションのマスを確保するのが大切。しかし、45.axb5では…Bd2に追いつけないと考えた結果、45.Bf3?? bxa5でプロモーションが止められず負けとなりました。
総評:最後はエンドゲームの駒使いで差を見せつけられたとはいえ、序盤、中盤は堅実に指せていたと思います。一方で、アクセルドラゴンに対してc4をついている形は白が勝ちを狙いにいけるとも思うので、全く勝つチャンスを作れなかったというのは個人的に改善できるかなぁといったところです。
大会の流れの中ではこの負けがかなり痛く響いて2戦目、3戦目にも続いたのはチームにも申し訳ないところです。特に3戦目は勝てそう且つマストウィンだったので本当に面目ない…
ただ、自分が負けてる中でもしっかり点を稼ぎ、チームを上位へと押し上げてくれたメンバーには大感謝祭です。2番ボードは出場した6ラウンド全てで負けなし、3番ボードも同じく負けなしかつチームの勝敗がかかっている時に点をもぎ取ってくれました。4番ボードで交代で出た2人は大会初参加にも関わらず5ラウンド目、6ラウンド目を制すキーマン(メン?)でした。本当にあざです。
毎度のことにはなりますが、大会を主宰してくださった方々や対戦相手の方々にも大変感謝をしています。自分は来年度から社会人なので今後どれほど大会に出場・手助けできるかはわかりませんが、残りの学生生活はチェスにのめり込もうと考えているので、どうぞよろしくお願いします。
柳井
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