どうも、柳井です。最近暑くなってきましたね。みなさんいかがお過ごしでしょうか。私は大学なり就活なりで中々チェスに時間を割けていないのですが、今年度もJapan Chess Clasicsに参加予定ということで真面目に指してみることにしました。
久しぶりに15+10を指しましたが、普段ブリッツ・バレットのしすぎなのか読みが浅く直感頼りだった気がします。試合自体は相手のブランダーで早急に終わりましたが、オープニングが興味深かったのでしっかりと振り返りたいと思います。
改めて、時間は15+10、私のLichessレート2176に対し、相手は2084。本来棋力で負けることはほぼないレート帯。
1.e4 c6 2. d4 d5 3. f3 c5!? これが今回取り扱うオープニングです。
試合での相手の様子と豆知識
3. f3の後に相手は1分ほど考え込んでいました。おそらく、初見だったのでしょう。ラピッドとはいえ、3手目で長考してしまうのは割けたいところです。最終的に指した手を見ると、相手はかなり動揺していたのでしょう。
ただ、このオープニングはマスターで5局、Lichessのレート2200以上(ブリッツ・ラピッド)で850局近く指されてはいるようです。周りを見ているとマイナーな定石への対応力が凄まじいプレイヤーもおいので見習いたいですね。
サイドラインを指した狙いはFrench Defenseのf3ラインや、3. e5とついたAdvance Variationに寄せたかったのではないでしょうか。それぞれとの違いは追って説明します。
4.exd5 Qxd5 早計でした。e5と突いた場合の違いとは、cポーンでdポーンを取り返せず、クイーンが不安定なセンターに来なければならないと考えていました。しかし4. dxc5はポーンアップを一時的に持ち、黒側のdxe4も止められる手です。少し考えれば思い至るような手を見逃すのは苦みが濃いですね…
ここでいうFrench Defenseのバリエーションは、1. e4 e6 2. d4 d5 3. f3 c5 との違いです。
一番上にある画像と比較するとわかりやすい違いが2つ。まず、黒は1手無駄にしています。c7-c6, c6-c5と突くことで黒は余分な手を指しています。2つ目は、c5にビショップが効いていること。本譜では黒がc5を取り返すには労力がかなり必要なのに対し、この局面でdxc5はむしろ黒良しでしょう。
これら2つに加え、より不透明な違いが黒の戦略の正確さです。本譜で黒がe6としなかった裏には、白マスビショップを出したいという、Caro-Kannプレイヤーらしい考えがあったのでしょう。しかし白のポーンは白マスにあり、h3-c8でビショップが活躍できる見込みはかなり薄い。そんな中で1手を無駄にしてまでこの戦略にこだわったのが、最終的な敗因に繋がったとも考えられます。(もちろん一概にはいえませんが…)
5.Be3?! Nc6 6.Bb5 cxd4 アドバンテージを保つには5. Ne2でポーンを守る必要があったようです。実際、Be3を指しながら黒のQe6が若干心配でした。(6…Qe6 7. Bxc6 bxc6 8. Qe2で駒組が悪い)
5. Nc3と読みの浅さについて
そもそも4.exd5とした理由の一つに4…Qxd5 5. Nc3とするのが良いと考えていました。ただ、実際にその手を見て5…Qxd4に気づき動揺し、Be3という不安定な手を選びました。しかし読みが浅かったようで、6. Qxd4 cxd4 7. Nb5 Na6 8. Nxd4 d5というラインに試合後気づきました。盤面自体はイコールです。しかし、格上相手を想定すると、こういった分岐も読み切った上で指せるようになりたいですね。
7. Nc3! Qe5 特段何かあるといった手ではありませんが、お洒落で玄人感溢れる差し手に我ながら惚れ惚れとしています。
8. Bxc6 bxc6 9. Qxd4 Qxd4 10. Bxd4 駒数は同じですが、黒の弱いcポーンと白の展開の良さを踏まえ、負けはないと確信していました。
10… Bf5?! 11. O-O-O e6 さて、10…Bf5は良さそうに見えてあまり意味がない手です。というのも黒は展開の遅さの解消が第1です。にもかかわらずキングサイドの駒は動いておらず、キャスリングすらできません。10…h5からルークを出していくのも考えられますかね。
12. h4 Be7?? 13. g4? 1-0 わちゃわちゃして勝ちました。
具体的にいうと、白の古典的なビショップトラップ狙いのh4に黒が反応せず、g7ポーンを落とす手を指しました。私は即座にg4とし駒得ができたわけですが、冷静であれば 13. Bxg7 Bf6 14. Bxh8 Bxh8 15. g4が圧倒的に良かったことがわかったでしょう… 反省点ですね。
最後に:今回の試合は短く、レートにしても自分より低めの相手でした。しかし、ブリッツ・バレットざんまいからの良い復帰試合であったと感じてますし、課題や発見もそれなりにありました。同期や後輩の成長が目まぐるしい中でも、1定以上の水準のプレーをしていきたいですね!
本当はマスターの試合も載せるつもりでしたが、予想以上に自分の試合戦記に時間がかかってしまったのでこれまでとします。もし希望があれば、4. dxc5と指したマスターの解析も掲載するのでコメントあるいは下のボタンを押してください。更新頻度は高くないので薄い期待を持ちながら待っていただけると幸いです。では。
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