2023年7月14日から7月17日までの4日間にわたるジャパンチェスクラッシックに参加。2年前の学生選手権以来、初のクラシカル大会でした。2年前と比べると大きな成長を感じる反面、今後の課題も多く出てきたと痛感しています。今回はそんな大会を映し出すような、アップダウンの激しい試合を振り返ります。
SUGIMOTO (1840) – YANAI (UR) Round 1
1. d4 Nf6 2.c4 c6 3.Nf3 d5 4.e3 e6 5.Nbd2 Nbd7 6.b3 Be7
対局当時は消極的に見えた白の駒組は、改めて見返すとキングサイドへの攻撃が明確に狙われている形です。
7.Bd3 o-o 8.o-o b6 9.Bb2 Bb7 10.Ne5 Nxe5?!
ここでは、候補手として考えていた10…c5が最善。たしかに結果として本譜はf4,f5のポーンつきが致命的になりましたが、ナイトをe5に残し、b2ビショップを閉じているポーンを開くのはためらわれました。
11.dxe5 Nd7 12.Qh5 g6 13.Qh3 c5?! (Nc5, b5 とし、局面を開いてマイナーピースを交換することで白の攻撃の緩和を狙うのが最善) 14.Rae1 Qc7 15.f4 Re8??
この手はf8のマスをビショップかナイトに与える意図があったが、白の応手によってかなり厳しい局面へと陥る。最善はd5とポーンを切ることで少しでも白の猛攻を防ぐ必要があったよう。
16.cxd5 Bxd5 17.e4 Bc6 18.Nf3?! c4!(白は計画通りf5とするべきだったのに対し、Nf3でNg5を狙う。この1っ手のおかげで黒は盤上でのアクティビティを得る。)
19. Bxc4 Bxe4 20. Kh1? Rae8 (白はBxe6 としたかったのだろうが、黒がBc5をチェックではさみ、ビショップが落ちるため無理と判断。自分も同じ読みだったが、解析によるとRxe6の後にはNg5があるため白よしとのこと)21.Bb5? a6! 白の分かりにくい緩手をとがめられたのには非常に満足。本譜通りとった場合は確実にdファイルが手に入り、とらなかったとしても白は攻撃のための駒が減る。
22.Bxa6 Nc5! 23.Bc5 Rxd1 24.Rxd1 Rd8 25.Rf1?? Bd3 26.Nd2 Bxf1(白はf2でのナイトフォークを怖がるあまりエクスチェンジダウンし、かなりさしにくくなる。しかし互いに持ち時間が少ない中で、黒は下手な手ばかりを指し、最終的にはエクスチェンジを返したドロー局面へとなる。27.Nxf1 Ne4 28.Qe3 Nc5?! 29.Qd2 Qd7 30.h3 Qd1 31.Kh2 Qb1 32. a4 Rd8?! 33.Ba3 Re1 34.Qf3 Qa2 35. Bb4 Rc8 36.Ne3?! Qb1 37.Nf1 Rd1?! 38.Ba3 Rd8?! 39.Ne3 Bf8 40.Ng4 Bg7?? 41.a5?! (Bxc5 bxc5=) Ne4? 42.axb6?! Rb8?! 43.Qe3 Qa2?? (Be7によりかなり危うい局面へ)44.Bb4 h5 45.Qxe4?! hxg4 46.hxg4?! Rxb3 47.Bc5 Rb8 48. b4? Qb7 49.Bd6 Rd8 50.f5 Rxd6 51.exf6 Bxf6+ 52.Kh3 Bxd6 53. fxe6?? Qh8#
時間が無くなり、チェックメイトさえなければ勝ちかという局面で、白はメイトを見逃し負けてしまう。53. Qa8+でこのメイトは割とたやすく防げてしまう上、それがなければ白がかなり苦しいため、最後は正直苦し紛れの勝利でした。そのあとの試合では勝ちを逃したり逆転勝ちをしたりと、ドローなしの激しい局面ばかりで、結果は4/7pt、81人中暫定24位で個人的には満足しています。国内レートが低かったのもあり、Bグループの中では1位という結果でした。
大会全体を通して強いプレイヤーとも戦えるということが分かったので、今後も大会に出没しようかと思います。大会を主催してくださった方々、対戦をしてくださった方々、今回は本当にありがとうございました。
(柳井)
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