2024/12/2– 2024/12/12 Dubrovnik, Croatia
こんにちは、柳井です。
いよいよ2024年も終盤に入りましたね。皆さんの今年のチェスはどうでしたか?私はクリスマスイブにクロアチア語のチェス本を解読していることから考えても、チェス満載の年を過ごせたかなぁと思います。
さて、ご存知の方もいるかもしれませんが、今月上旬、京大チェスサークルから2名ほど海外デビューを果たしました。というのも、2024年12月5日から8日まで開催される、Dubrovnik Advent Open 2024に私柳井と、サークル会長の荒木が参戦してきたんですね。初の海外大会かつ、2人とも初めて行った国なので胸を躍らせて飛行機へ乗り込みました。
経路は関空-Doha-(カタール)-Zagreb(クロアチア)-Dubrovnik(クロアチア)と、乗り換えが多く移動時間は1日を超えました。ちょっと大変でしたが、それも冒険の醍醐味って感じですね。
旅行の土産話もしていきたいところですが、このブログでは大会での私の試合1つの紹介を中心にしていきたいと思います。詳しい旅行の内容については、ぜひ直接、大会や京大サークルの例会でお話しできればと思います。
Round 5: MK Porobija, Antonio (2055) – Yanai, Yuya (1863)
今大会のラウンド5は、ランキングの上半分に食い込めるかどうかの山場だった、と考えています。4ラウンド目でマルタのCMにドローをとり、ここでポイントを取れればさらに上の相手に挑めるかも…といった状況でした。対戦相手は 2000を超える強豪で、GMにドローをっていました(大会では私との対戦後に2200を下しパフォーマンス2200までいったようです)。ちなみに、MKというのはMeister Kanditatの略で、いわばCMだそうです。取得条件が冠位戦をかけた大会優勝なので、Fideレーティング式のCMとはまた違いますね。いずれにせよ、強者であることは間違いありません。
1.e4 c6 2.d4 d5 3.Nd2 dxe4 4.Nxd4 Nf6 5.Nxf6+ exf6 6.c3 Bd6 7.Bd3 O-O 8.Qc2 Re8+ 9.Ne2 h5 10.O-O h4 この辺りまでは一応定石通り、日本の大会では指す機会がありませんでしたが、例会で頻繁指していた形なので、自信はありました。ただ、Gukeshも苦しめられた11.Nf4のラインは嫌だなぁと。

11.Bd2 Nd7 若干控えめな手がきたので、まぁこれも知ってるなぁとか思いながら指し進めていました。
12.Nf4 Nf8 騙された気分でした。白の狙いとしてはQd1-Qh5で、ポーンとメイトを狙って前進します。ただ、11.Nf4年無かったことで黒はNd7に成功しているので、プランに対抗する時間は十分あるはず…
一方で、ある程度の時間をかけてこの手を指してきたことを考えると、こんな発想をその場で思いついてくることから地力の強さが伺えて戦慄しました。

13.Qd1 g6 いずれにせよ、クイーンがh5に来ると危険なことには変わりないので13…g6で止めます。この盤面ではNf8がうまくg6をカバーしていますが、さっきの11.Nf4のラインではまだd7にいるのでNxg6などをすることも可能です。
14.Qf3 Qd7?! なかなかうまく指したつもりでしたが、相手の強さに怖気付いたからかクイーンを交換しようとします。友人の強いチェスプレイヤーにこの局面を見せると、…Kg7 …Nh7 …Ng5を狙い、駒交換をしない方が黒のコマのアクティビティを最大限にできたのではないかとのことでした。Stockfishの評価値も同意しています。
15.Rfe1 Rxe1 16.Rxe1 Qg4それでも、ドローを狙う上でこのクイーン交換の強制は悪くないと思います。白はこれを回避するために15.h3とすれば万事解決だったのですが、特に気にしていなかったようです。
17.Qxg4 Bxg4 18.h3 Bd7この局面で白黒どちらもアドバンテージがあるようには思えません。確かに黒はf-ポーンがダブルポーンですが、果たしてこれは特筆すべき弱点なのか。

19.Kf1 Re8 20.Rxe8 Bxe8 ここで黒からドローオファー。まぁ受けてはくれないだろうなとは思いつつ、オファーしてみるだけ損は無いと考えました。対戦相手は少し考えた後、丁寧に「もう少しやろう」と断り、指し進めました。振り返って考えると、黒はピースを残しておきたいのでこのルーク交換は良く無かったかもしれません。
21.Bc4 Kg7 これはNxg6を狙った手ですが、c-ポーンの進行を防ぐ若干の緩手だったよう。
22.Ke2 Bd7 23.d5 b5?!ここが分岐点でした。おとなしく普通のカロカンらしくc5と突き越せば白はクイーンサイドとセンターでのスペースがあまりなく黒も不満ない局面だったことでしょう。不必要にこねくり回した結果、ミスを招きました。24.dxc6 Bxc6 25.Bd5 Bxd5?クイーンサイドで黒はいいところが全くないので、局面を閉じ、駒を残すべきでした。しかしこの時の私は何を思ったか指し筋の正道を逆走していきます。26.Nxd5 Ne6このナイトも本来…Nd7 …Ne5としたいはずなのに、なぜかあまり行き場のないマスに飛んでいきます。

27.Be3 a6 28.b3 f5 29.Ke3 Kf8なんとかしてキングをクイーンサイドに運ぼうとしますが、できることは多くありません。30.c4 bxc4+ 31.Kxc4 g5?! 32.f3 Ke8 33.b4 f4 キングサイドのポーンを進めて行ったことも、かなりひどかったと思います。クイーンサイドの問題が片付いていない中で簡単に止めることができるポーン突きは、後々の弱点にしかなりません。
34.Bf2 Kd7 35.a4 Kc6 36.b5+! axb5 37.axb5+ Kb7クイーンサイドの辺境にキングは追いやられ、キングサイドに移り行く流れに取り残されています。
38. Nf6 Ng7 39.Kd5 Nf5 40.Ke4 Ne3?! ビショップでなんとか守りきれないかと思いましたが、無理そうです。41.Bxe3 fxe3 42.Kxe3 Kxb5 43.Kf5 Bf4 44.Ne4 Kc6 45.Nxg5 Bxg5 46.Kxg5 Kd7 47.Kxh4 1-0
ポーンの進行を止められないので、投了しました。今回の大会は、上に2敗1ドロー、下に2勝2分と相応の結果でした。もう一つの負けではGMを下した強豪相手に時間切迫で破れるまで優位を保てたこともあり、検討したと思います。対戦相手やアービターの方と親しくなれたことも嬉しかったですね。
しかし何よりの驚きは、大会会場にあったチェスの出店の気さくなおじいちゃんが実はGMで、今大会の優勝者ということでした。大会では常に自分より遥か上のボードにいたため気付かず、「今日私が優勝したんだよ〜」と最終ラウンド後に教えてもらった時はびっくりしました。
最後に、いくつか写真を載せて終わりたいと思います。


大会優勝者&優しいチェス出店のおじいちゃん GM Dorazicと

Srd山の頂きから。ケーブルカーが休止中だったので2時間くらいかけて登りました。


コメント