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生贄

2025 12/18
大会参加記
2025年12月18日

チームチェス選手権2025_参加記(Ueda)



blogの目的

・人生の記録

・試合の復習



自己紹介

Ueda

京都の大学に通う3回生

読書とチェスが趣味。

大会内容

11月1日(土)11月2日(日)

東京の大井町駅にある会場「きゅりあん」で開催されました。

「全日本チームチェス選手権2025」


目次

黎明

私は京大チェスサークルを半年ほど離れていました。
理由は様々な私情が下振れて落ち込んでいたことと、人生とチェスを重ね合わせて、その戦略構造が物の用に立たないのであれば、どこに必要があると言えるのだろうかと、そう苦心していたからでした。
なんのために戦略を学び、計画性を学び、チェスと向き合ってきたのだろうかと
そう思っていたのでした。

猛暑日が続き、本来であれば蝉がうるさく鳴いていてもおかしくない中、
照りつける日差しと蒸し返すような静けさを帯びた8月。

インスタ 8月1日 12:43

柳井さん「久しぶり!

8/16にチェスするんだけど来ない?

京都(四条?)で10人前後くらい来そうな感じしてるんやけど

もしよければ」

「お久しぶりです!

ぜひ自分でよければ参加したいです!😊」

LINE 8月1日 13:02

荒木さん「お久しぶり、8/10(日)灘校生と交流会するんですけど、

予定空いてれば是非来てくれませんか???????????」

「お久しぶりです!

予定空いてるんで、行きます!笑」



野良猫のような不埒な僕を迎え入れてくれる邂逅の暖かさは、
照りつける猛暑の暑さとは違いました。

残暑が続きながら、蝉の鳴く声が耳障りに感じられ、季節の移り変わりを感じた10月。

とある例会の帰路にて、


柳井さん「企画、広報の仕事やってみたら?」


企画と広報と運営の仕事をいただいて、3つの看板は多いので、組織運営として一つの看板にしようと「参謀」という役職名に集約しました。
新会長のもと、右腕となって京大チェスサークルの組織運営を支え、少しでも恩返しができれば幸甚であると感じました。

そして、
恩返しとなる機会はもう一つありました。
それが、11月に開催される全日本チームチェス選手権2025、
大会実績としてサークルに貢献できる良い機会でした。

今年は、昨年とは異なり、京大サークルから2チーム8名が参加することになり、
参加するからには是非実績を持って帰りたい。
そして、今大会から「オープン」と「グループA」というカテゴライズに分化され、
2つのカテゴリー参加への可能性が生まれました。

京大チームAとB
チームAを「オープン」という激流の渦中に送り出すために、
チームBは堅実に「グループA」での実績の可能性を託されたのでした。

チーム分けは人間関係の組み合わせから選出され、
私はチームBとして出場する運びとなりました。

チェスの大会に初参加の趙さんと白水君
チェス大会への参加経験のある僕と奥田君

「順番は僕からは特に希望はないですよ!」

1.上田
2.趙さん
3.奥田君
4.白水君

こうして、京大チームBのギャンビットポーンとして、死地に送り込まれるのでした。


1日目 仲間


会場は昨年と同様、東京の大井町駅にある「きゅりあん」でした。



「おはようございます!」



柳井さん「俺は今回は違うチームだから、声かける人違うよ笑」


卒業された柳井さんも別チームとして参加されていました。
そして、私が到着した頃には、京大チームのメンバーも数名到着しており、
全員が揃うまで会場の廊下で待機していました。
昨年は初大会、初参加でチェス界隈という非日常の世界に足を踏み入れる緊張感がありました。今年は、昨年にご縁があって関わらせて頂いたたくさんの方をお目にかけることができて、嬉しく感じました。



「久しぶり!」



僕「あっ!お久しぶりです!」



「今回はグループAで参加されるんですね!
前回の積年を晴らせるかなと思っていたのですが!笑」



僕「そうなんですよ!すいません!笑
今回は京大サークルからは2チーム出場することになりまして、
僕はグループAの方で出させて頂くことになったんですよ!」



ちょうど、声をかけてくださったのが、
昨年の最終ラウンドで対戦させて頂いた「Osaka Abeno Chess Club」の方でした。
前回のblogを読んでくださり、
試合展開はまさに自分が考えていたカウンターアタックが表現されていましたと評価していただけてとても嬉しく感じました。
また、「ここかっ…苦笑」と苦々しく感じたこともお伝えいただいて、
積年をかけた対局ができなかったことを大変申し訳なく感じました。

そして、
そうこうしているうちに、メンバーも揃い、
開会式と共に今大会が幕を開けるのでした。



Round 1 逃した魚は大きい


対戦相手 Tokyo Bilingual Chess Club C



意気込み


今大会の初戦、チームとして勝利を収め、士気を高めたい。



試合展開

対戦相手の初手はc 4。
直接センターを狙いにいくのではなく、d5に対しての牽制、
相手の陣形を見て柔軟に対応策を用意できるイングリッシュ・オープニング。



c4に対してe6。
フレンチの構えで様子を見ることを選択。



2.g3 d5  3.b3 Nf6  4.Nc3 Be7  5.Bg2 o-o


白マスビショップの展開先として、b3にフィアンケットすることを画策する。
相手はその間にセンター制圧へと歩みを進める。


8.cxd5 Bb4?!
そして黒マスビショップとナイトの交換、白はセンターにd4 e5とポーンを配置、黒はc5ブレイクを試みる、cxd4に対してQxd4、そしてf4、白からのキングサイドアタックの狙いが見えてくる。


26…Ng7
白のピース達はキングサイドアタックに向けた理想的な配置へと配陣するのに対して、
黒は白のアタックに誘導されるように歪な陣形へと防衛戦を強いられる。


厳しい防衛戦の渦中、一筋の光明が差し込んだ。


30.Qd1
30…Nxf5  31Rxc8 Rxc8と続いた。


33.g4
Rxg2 Qxg2 Qxg2 Kxg2 Nc3+ この手が堅実でアドバンテージを確定する強力な筋であった。
しかし、セカンドランクに入り込んだクイーンとルーク、ナイトを駆使すればf7の脅威も避けられる。
ポジショナルのアドバンテージを残したままの圧殺こそ、目指すべき理想系なのではないのかと、
彷徨い続けた地平には蜃気楼が生じた。

33…Nh6


試合はルークを交換し、36.e6 Qe3+
ポジショナルによる判断は功を奏し、敵のさらなるディスアドバンテージを引き出したかのように見えた。

37…Qxe6??



リスク無くポーンを回収できる一手に思えた。
その手に潜む毒牙に気づけなかった。
蛇が獲物を締め上げるように、残り時間は一刻の猶予も奪い去る。



38.Qd4



人は一度、自分の物となった利益を手放す時、言われもない苦痛を味わう。
その狼狽は容易に判断を狂わせる。


38…f6??



結果


試合展開は波乱を呼び、一度手にした勝機をさらなる可能性の誘惑から断ち切ることができていたなら。
その時すでに、私の手から勝利はこぼれ落ちていたのだ。


チームとしては、2勝2敗で引き分け。
ここで勝ちを取れなかったことが、
結果を分つこととなる。



考察


チェスが心理戦であるならば、アドバンテージを作ろうとするミドルゲームから、
甘さを切り捨て、甘美な誘惑たる可能性を抹消するエンドゲームへの、
冷酷さが必要なのかもしれない。


Round 2 ポジショナルチェス


対戦相手 King Shogi Chess School



意気込み


私の対戦相手のレートは1871、やはりグループAの1番ボードは魔境。



試合展開


初手はd4から始めた。
g2にビショップをフィアンケットし、クイーンサイドへの長距離射程砲を持つ。
中央への支配とクイーンサイドへの圧力を高め、
盤面の主導権を企図するカタラン・オープニングを選択。

対して相手は、f5 e6とする、ダッチディフェンスを選択。
ダッチディフェンスはアンチカタランとしても知られ、f5とd5でe4を封じ、
長射程のカタランの理念を無効化しつつ主導権を握らせない陣形を作り上げる。


互いに中央に対しての圧力を高めつつ、キャスリング。
ピースの展開を優先しながら、相手の理想形を阻止する手を考える。


14…e5
黒からセンターの均衡を崩しにきた。
dxe5 Nxd5 Nxd5 Bxd5と続き、白はb2ビショップの射線が開け、
局面支配への一助になると考えた。


17…Ne4  18.Nc3?
自分よりも強い相手と対戦する時は、総合的な力がより試される複雑な盤面やタクティクス力を試すような局面に持ち込むと実力差が如実に発揮されやすい。
時間管理の観点からも、複雑に考え時間を使うべきか、駒交換により時短と簡略化を狙うべきか、状況により判断しなければならない。
そのために、駒交換への催促を急いでしまったのだろうか。

急いては事を仕損じるという諺にもある通り、
悪い手はふと気を抜いた瞬間に訪れるものである。

18…Nc5


19.Qc2 dxc4  20.bxc4 Bxc4


21.Bf1?! Bxf1  22.Rxf1 Rd8  23.Rd1 g6


24.Rxd8?! Rxd8  25.Rd1?! Rxd1  26.Nxd1 Bxb2


28…Qd5  29.Qxd5+?!
クイーンサイドの3連結ポーンを分裂させる形でクイーンを交換。
駒損をしている側はピースを残して可能性に賭ける戦略を構築するべきである。
普段のチェスでの理屈があまりに頼りなく見えて、プレッシャーから逃れようとする、
大会の緊張感は知らない自分を引き摺り出す。


37.exd4+



その後、黒からのクイーンサイドのポーンアタックを受けきれず投了。



結果


黒は終始落ち着いた、冷静なポジショナルチェス。
それは、余裕のある上品な大人のチェスのように感じた。



考察


ダッチディフェンスの戦略により、カタランの長射程やe4という手が封じられたことにより、非常に戦略の通しづらい局面へと進展した。
冷静なポジショナルチェスによるミスの誘発、常に局面の展開をリードされる形で進展し、焦りや局面評価の甘さから、チェスプレイヤーとしての稚拙さを実感させられた。


しかし、チームとしては3勝1敗で勝利。
1日目の最終戦へと歩みを進める。


Round 3 強敵

対戦相手 ISAK Chess Club


意気込み


対戦相手はグループAのレーティング順位1位、FIDE-rated 2005。


どうせ処刑台に上がるなら、最後の晩餐にはタクティカルな対局を。



試合展開


初手e4に対してe6で返すフレンチディフェンスを選択。



フレンチディフェンスとは、
e6 d5のポーンチェーンを軸に頑強な守りを築き、
中盤以降、白のポーンチェーンの基点であるe4に対して攻撃を仕掛ける。
序盤は守勢に周り、耐えてから一撃のカウンター入れる、「受けの美学」である。



試合はフレンチディフェンスのSteinitz variationへと進展する


8…f6?!
フレンチにおいて、f6から中央にブレイクを仕掛ける戦略的アイデアは存在する。
でも、早い。流石に、まだ早かった。

9.exf6 Nxf6  10.dxc5 Qa5  11.Nb5 o-o?!


不必要なポーンダウン、しかし、意図せず発生したインバランス。
fファイルが開け、駒展開を優先したキャスリング。
考えていたことは、展開のアドバンテージを主張して、不均衡下でのタクティクスを導けないだろうかという、カミカゼのような特攻作戦である。

ナイトをe4に展開し、c5を狙いつつ、黒マスビショップの射線を開いた。
さらに、e5により、白マスビショップの射線も開き、中央へのプレッシャーとなる手を選択。


17…exf4
相手の黒マスビショップに取り返されることを想定した手。
d4のマスの主導権を握り、a6でd5ナイトを追い払い、Bc3+を夢見る一手。


18…Bg4



18手目には複数のバリエーションが存在した。
a6とBh3、そしてBg4。



a6はb5ナイトを追い払った後、ビショップチェックを狙い、fファイルの活用、キャスリングの阻止、ポジショナルの優位を築こうとする手である。
リスクは、Nc7でa8ルークとd5ポーンのフォークがかかること。



Bh3は試合中にはアイデアとして思いつくことすら出来なかった。
キャスリングの阻止、そして、h1ルークとf3ナイトのフォークを狙う一手である。

Bg4は白マスビショップの展開と浮いているナイトへのプレッシャー、
ポジショナルの優位を築き、よりタクティカルへと繋げる期待を込めた手。

互いに命を削る殴り合いのような局面は、計算量となり脳のリソースと時間を奪う。
複雑な局面、その均衡はいつまで続くか分からない。
一定の水準の計算量を維持したまま局面の圧力を保つべきか、
この一手に全てを賭けるべきか、
タイムコントロールとメンタリティの駆け引きは、
大会というプレッシャーの下、大きな竜巻のように襲いかかる。

格上相手に時間は精神の安定剤のように機能する。
いつまで続くか分からない嵐の中、刻一刻と命は削られる。
局面の圧力の均衡と持続を警戒し安心材料を求めた結果、
結論を先送りにするようなBg4という一手に収斂した。


19…a6?!
構成する比率はどれか一つが異なると、ただそれだけで全ての意味合いが変わる。
o-oこの一手、手中にあった光り輝く宝石は、無価値のガラクタになった。


21.Nxd5 Rce8  22.Rbe1?! Bh3?

時間という重力に、一度解けた緊張の糸は、
手編みのセーターが解けるように、
するすると意思から力を奪い去った。

23.Bxe4 Bxf1  24.Nxf6+ gxf6  25.Bd6?! Rf7  26.Kxf1 Kg7  27.Bxc6 Rxe1+  
28.Kxe1 bxc6  29.Nd4


結果


読みきれなかった。
相手に敗れていながら、自分の限界に敗れたように感じた。
戦っていたのは自分が作り出す、自身の虚像。
タクティカルな局面を作り出そうとする自分と戦っていたのだ。

考察


時間管理を考える時、時間の比率や配分を意識しがちだが、
計算力は相対的に時間を増加させ、知識は判断に要するリソースを圧縮できる。
心理戦に至る過程に、研鑽は構造として作用する。



そして、チームは3勝1敗で勝利を収める。



1日目 夜


3ラウンドの対局が終わり、1日目は幕を閉じた。
京大サークル、チームBは2勝1分けの戦績となった。
チームAとチームBで合流し、きゅりあんを後にしました。

今年は人数も多いため、みんなで民泊を利用することにしました。
宿について、荷物を置き、近くのレストランへ向かいました。
食事をしながら親睦を深め、帰りにコンビニで朝食とお菓子を買って帰りました。

そして、宿に着くと、みんなで1日目の棋譜を振り返り、局後検討。
奥田くんの躍進劇がトークに花を咲かせながら、
趙さんのエンドゲームのタクティクスに頭を悩ませ、
苦々しい僕の棋譜を振り返りました。


一方その頃、白水君は体調不良で寝込んでいました。

そうしている間に夜もすっかり更けて、気づけば夜中の2時頃でした。



趙さんが、ある発見をしました。
Round4で僕が対局する相手の過去大会の棋譜がChessBaseのサイトに掲載されていたのでした。



趙さん「上田さんの明日の相手は、白番だとe4みたいですよ!」



「おぉ!e4に対しては僕はフレンチで返すので、」



趙さん「対戦相手のフレンチの棋譜もありましたよ!」



「え!ほんとですか!」

趙さん「どうやら、フレンチに対しては、アドバンスで返しているみたいですね。
1.e4 e6  2.d4 d5  3.e5 c5  4.c3 Nc6  5.Nf3 Qb6  6.b3 ん?何かおかしいですね。」

「ん?なんですか?」

趙さん「これだと、ポーンテイクの後にビショップチェックでセンターポーンが落ちていますね。」

「あれ、ほんとですね!では、b3と打たれたら、ポーンテイクで、ビショップチェックが有効策ですね!でも、局後検討で対策されているのではないですかね?」

趙さん「でも勝った対局なので、案外そのままかもしれませんよ。」

「確かに。」

そして、
荒木さんと他愛のない話をしながら、
気づけば眠りに落ち、翌朝を迎えていました。


2日目 チケット


Round4は9:30から開始なので、9時には会場に到着できるように民泊を後にしました。
色々話をしながら、会場に向かう道中、



趙さん「そういえば、昨日の話は覚えていますか?」



「フレンチのアドバンス、b3にはポーンテイクでビショップチェックの後に、ポーンアップですよね!大丈夫です!」



会場に到着し、対局ボードの席に着きました。
対局前の準備をして、
気持ちを切り替え、時間となり、
2日目の開戦の狼煙が上がった。


Round 4 蜘蛛の糸


対戦相手 Minamoto Chess



意気込み


私の中にはジンクスがあった。「2日目の男」。
大会に出ると、決まって1日目は不発に終わり、2日目には負けなし。
安心感と可能性に期待を込めた対局。必ず勝てる。



聡明なる読者諸君であれば、こう考えた方もいるかもしれない、
ただのチェス大会のマッチングシステムの影響ではないのかと。



答えは沈黙。
必要なのは証明だ。



試合展開


初手はe4から始まった。
e4に対してe6。
お決まりのフレンチである。
d4に対してd5。
そしてexd5。


って、エクスチェンジかよ!



あれ、話とちゃいますやん。え。



不用意なアイコンタクトを避けつつも、2番ボードからの視線を感じた。
その目には驚きが、口元にはわずかに笑みがこぼれていたような気がした。



さて、まぁ、気を取り直して。
エクスチェンジ・バリエーション。



白が中央の緊張を早い段階で解消し、左右対称のポーン構造になる。
戦略的な歪みが少なく破綻しづらい局面へ。
早期に駒交換が進むと自然にエンドゲームへと移行する穏やかさを保つ変化である。



なかば、落胆した気持ちと、安堵の気持ちが心にあった。
お互いにシンメトリーな駒展開へと進んだ。



そして、時期尚早なクイーン展開により、
不用意にナイトのターゲットとなってしまった。


早期にダブルビショップの可能性を放棄してしまったことは痛手だったが、
中央に連結したナイトを配陣することに成功した。


互いにルークをオープンファイルへと進展させ、
クイーンが出てきたタイミングで、ルークバッテリーの起点が生まれた。


敵のキングサイドはポーン系が崩れ、
ルークのポジショナルの優位、センターナイトの評価を加味して、
早期のクイーン交換を申し出た。


これは、せっかくのポジショナルの優位から、
一つクイーンという大きな優位性を排斥する行為であり、
あまり必然性に欠ける手であったと考えられる。


そして、さらに駒交換が続き、


キングサイドのポーンマジョリティを活用して、
ポーンアタックを仕掛けた。
白はhポーンで受けたため、gxh4 gxh4となり、
fファイルにパスポーンが生まれた。


パスポーンの進撃には、
可能性の火種を絶やさないように、細心の注意が払われるべきである。



慎重に、かつ大胆に。



相手の防御を切り裂いた。


結果


詐欺被害には遭遇したものの、
冷静さを取り戻し、見慣れた安定的な局面へ。



シンメトリーな展開と鎮静化への駒交換。
展開の優位性でパスポーンの進撃の可能性を導いた。



考察


「2日目の男」は正しかった。
チームは、2勝1分けで勝利を収めた。



本当に肝心なところでは勝利をつなぎ、
チームの優勝へ、首の皮を一枚繋げた。


Round 5 幻影


対戦相手 Yokohama Rooks



意気込み


決勝戦へ、そして優勝へ。
そのチケットを手にするには、2日目のチーム戦績が全勝でなければならない。
負けるわけにはいかない。



試合展開


d4。
カタランの陣形を目指す。
相手はd4に対してg6。
黒が中央へ即時にポーンを出さず、遠距離からプレッシャーをかけながら相手の中心を攻撃して崩すハイパーモダンな陣形であるモダン・ディフェンス。


互いに駒展開とキャスリング。


12…e5
この手を見て、フィアンケットビショップをc6ナイトに切る価値があると判断した。
Bxc6 bxc6 dxe5によりアイソレートポーンを作成することができるからである。
孤立したcポーンは恒久的な弱点となり、黒に悪形を強いることができる。


ルークバッテリーの起点となる一手。


私にとって、難しい局面であった。
アイソレートポーンを守るためにナイトは消極的なポジションにありながら、
黒のポーンはバラバラ、白は連結されたポーンとルークバッテリーでcポーンを狙っている。カタランのビショップを切ることで得たアドバンテージは戦略通りであった。
しかし、e4ポーンを起点にQf3+は警戒に値するように見えた。
念には念を入れておこう。

キングサイドの陣形を乱すのはリスキーだ。

なら、一体どこを攻めようか。
攻めの起点を作らなければならない。
しかし、明確な道筋の目処が立たない。

The tactician must know what to do whenever something needs doing ;
the strategist must know what to do when nothing needs doing.

-Tartakower-

局面の余白に見たタクティクスは、
多くの比較検討した要因に比して、
圧迫され、散漫した思考で、痩せこけた貧相な出立ちであった。

クイーンサイドのポーンを進める、axb4 axb4 Rxb4 Rxd5
もし、Rxd5に対してNxd5ならcポーンをテイクできる。
Rxd5に対してQxd5なら、Bc5でフォークになるのではないかと。

“Are you kidding? Rb7 is available.”


29.Qa6
成立しない幻影に惑わされ、苦肉の策としてクイーンのポジショナルの改善を図る。

さて、ただ喜劇を演じ、無駄な手を打つ、そんな悠長が許されるだろうか。
牙を抜かれた獣は、鎖を断ち切った猛獣へ。

29…Rxd4
30.exd4 e3?


この手に最後の手綱を握る消え入りそうな望みはあった。


31.fxe3??


崩壊に喰らい尽くされた残骸。

結果

一度手にした優勢は、心を迷いへと誘う。


チームは2勝1分けで勝利。

考察

The hardest game to win is a won game.

-Lasker-


Round 6 英雄か犠牲か


対戦相手 Keio A



意気込み


「僕らが優勝するには、何ポイント必要なんですかね?」



奥田くん「多分ですけど、チームポイントとしては負けているので、引き分けは優勝どころか2位も怪しいですね。だから、勝てばいいんですよ!決勝を。チームで。」



「なるほど、シンプルイズベストですね。優勝は、決勝を勝てばいいわけですね!」



「2日目の男」ジンクスは崩れたように見えた。
しかし、勝勢への微かな光は、1日目の濃霧に比べて、明るんでいるように感じた。
必要な勝ちを紡げば、英雄。
ここで負ければ、ただの犠牲だ。



そして、対戦相手は昨年のチームチェス選手権2024、
京大チームはグループAでの優勝を果たしたものの、
全体順位は10位であった。

今年のKeio Aは昨年のKeio Bとほとんどメンバーは同じ。
Keio Bの全体順位は8位であった。

昨年は荒木さんも柳井さんも松原さんも趙さん(今年とは異なる)も、
京大サークルの最高戦力で臨んだ。
その上で届かなかった。

さて、
これ以上、思考はいらない。

考えるのは、開戦の合図と共に。
勝てばいい。ただそれだけを。

試合展開

相手の初手はd4。
ついに来たか、d4が。

今大会に向けて、用意した。
夜なべで作り、休憩時間は紀人チャンネルでひたすら勉強した、秘策。
ニムゾ・インディアン。

さあ、Nc3を打ってこい。
ギャンブルの始まりだ。

と、物事はそう思った通りには運ばない。
1.d4 Nf6  2.c4 e6  3.Nf3 Bb4+  4.Bd2 Be7
カタランで黒からビショップチェックを入れて、
白にBd2を強いるバリエーションみたいになってしまった。

駒を展開し、互いにセンター制圧へ。


16…Rc8
ナイトを中央に展開することができた。
しかし、ビショップによりc6のナイトが狙われることに、


ルークで守りに入るが、Bxc6 Rxc6 Ne4により、
ピースの交換が避けられなくなった。

19.Nxg6 fxg6  20.Nxe4 Rxe4


22…d4
23.exd4 cxd4  24.Bb4により、パスポーンの作成に成功する。

しかし、dポーンはクイーンが下から支える形、
黒のピース展開は可能性を秘めていた。



ビショップを交換し、簡略化すれば、
相対的にパスポーンの価値は引き上げられ、
止められなくなる、そう思った。



eファイルにルークバッテリーを組む。



オープニングの選択を回避され、
センター制圧へと駒を展開、
攻められた圧力と交換での清算、
パスポーンの作成、
ルークバッテリーの作成、



局面に紡がれる物語とは裏腹に、
終わりの鐘は時を刻む。



緩急。
一つ一つをきっちりと、時間管理は適切に。



私の手は、瞬きをするみたいに、
それが、ごく自然な振る舞いのように、
クイーンを手に取り、移動させた。



26…Qb6??


簡略化すれば、
相対的にパスポーンの価値は引き上げられ、
止められなくなる、そう思った。



脳裏の静寂に刻まれた、小さな残響。



決められていたプログラムのように、
盤上の主権を放棄した。


32.g3
32…Rf5  33.Rbxd4 Rxd4  34.Rxd4



可能性の地平は崩れ落ちた。



結果


ガラス細工のように儚く、そして美しく、
決勝と優勝への道筋は形作られた。



手に取ると、脆く、崩れて、
この手の中で終わりを告げた。



チームは1勝3敗で幕を閉じた。



考察


The mistakes are there, waiting to be made.

-Tartakower-


結末

表彰式は18:30からであった。
チームBのみんなと表彰式の会場へと向かい、席を確保した。



奥田くん「大会の結果が出ましたよ!」



「え!ほんとですか!」



奥田くん「僕たちは、3位ですね!」



「3位!ほんとですか!」



白水くん「決勝戦での敗退から5位くらいになってるかと思いましたね。」



「いやぁ、Round1で勝利していれば、2位でしたね。」



奥田くん「そうですね!Round6が引き分けでも2位でしたね。」



結果は3位であった。
後に、チームAも合流。



「いやぁ、僕らの結果は、決勝で負けて3位でした。」



荒木さん「お!3位すごいやん!」



「僕ら表彰式出れるんですかね?」



荒木さん「出れるよ!確か、5位まで表彰だったはず。ちなみに、俺達は学生1位で表彰上がるよ!」



「え!ほんとですか!すごい!」



なんと、チームAはオープンで学生1位を獲得していたのだ。
チームAチームBともに表彰式へと上がれることに。

ガラス細工

今大会は京大サークルから2チーム、
チームBの1番ボードとして出させていただいた。
チームBのギャンビットポーンとして、
私に期待されたのは、生贄ではなく英雄となることだった。

チームは仲間のおかげで躍進し、
Round4では首の皮を一枚つなげることもできた。
決勝へのチケットは手に入れた。



優勝への一筋の光。
巧妙に、儚く、美しく、ガラス細工のように、
全ては美しい比率で、舞台は形作られた。



そして、決勝戦。
Keio Aとの対局。
開戦前に、休憩室で、
2番ボードは相手のレートは1748
3番ボードは荒木さん曰く、とても強い方
4番ボードは昨年のKeio Bで4番ボードを務めた方、実質1800レートくらいは実力があるだろうと予想していた。



3、4番ボードでの勝機は、とても難航することが予想された。
託されたのは、1、2番ボードであったのだ。



対局中、3番ボードから、
奥田くんの「負けました」という声が聞こえた。
良い判断だと思った。
声に出すことで、誰が勝たなければいけないのかが明確になる。



4番ボードは対局中で、1番ボードからは見えなかった。
2番ボードは決して、不利な局面ではなく、拮抗しているように見えた。



後に知るところとなるのだが、
4番ボードはまさか、勝利を収めていたのだ。



そして、2番ボードはドローを取れるエンドゲームだった。
1番ボードで勝利を収めれば、2勝1分けで優勝していたのだ。



私が託されたのは、ギャンビットポーンとして英雄となること。



私は終末の執行者となった。
この手で終わらせたのは、私だった。




END

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