先日東京で行われたラピッド選手権にアラキが参加してきました。初日は1勝3敗でかなり苦戦しましたが、2日目は3勝2ドローで絶好調、結果は5.0/9ptで無事勝ち越しできました。今回は個人的に思い入れの強い最終ラウンドを振り返ろうと思います。
9R Hasegawa – Araki
1.d4 Nf6 2.c4 c5 3.d5 b5 4.cxb5 a6 5.bxa6 Bxa6 6.Nc3 d6 7.Nf3 g6 8.g3 Bg7 9.Bh3
ベンコーギャンビットに対して白がBg2ではなくBh3を選択、黒としてはビショップがいないうちにh1-a8のダイアゴナルを狙いたい。
9.Nbd7 10.0-0 0-0 11.Re1 Nb6 12.e4 Bb7(露骨にダイアゴナルを狙う) 13.Qc2 Qc7 14.Nb5 Qb8 15.Bg5?
Bg5自体は自然な手に見えるが、黒にはb5とf3のナイトに紐が付いていないことを利用したタクティクスがある。
15.Nbxd5!
ストックフィッシュの評価はほぼ0の局面ではあるが、ギャンビットしたポーンを取り返しつつ、先に勝負を仕掛けられたのは心理的に大きかった。しかしこの手を指すのに確信が持てず(本譜でもそうなるが、ベンコーの強みである大きなポーンアイランドをRxe7で崩されるのが気がかりだった)、時間をかなりくってしまい、ラピッド(15+10)ということもありここからしばらく時間切迫に追われてしまう。
16.exd5 Bxd5 17.Nc3 Bxf3 18.Rxe7 Re8 19.Rae1 Rxe7 20.Rxe7 Nd5 21.Nxd5 Bxd5 22.b3 Bd4 23.Bd7 Qb4 24.Bd2 Qa3 25.Ba4??
明確な勝ちのチャンス、指してるときはBa4で閉じ込められたことによるクイーンの機動性の少なさを警戒して、25.Qb2?? でクイーン交換しにいってしまった。25.Rxa4!! bxa4 26.Qf3 で白はビショップを切らないとメイトが防げない。
26.Qxb2 Bxb2 27.Re8+ Rxe8 28.Bxe8 Kf8 29.Ba4 Be4 30.Bh6+ Ke7 31.Bg5+ f6 32.Bd2 Bb1 33.b4
33.cxb4? 1ポーン得にこだわってしまった。対局後に小島さんから指摘を頂いたが、c1~c4のマスを抑えていることから、33.c4! と指してプロモーションを目指すべきだった。34.Bxb4 Bxa2 1/2-1/2 Bxa2の後はdポーンのプロモーションを目指すが、特に進展できずドロー。ミドルフェーズとエンドフェーズでそれぞれ勝ちを逃したのは悔しく、チェスはタクティクスだという金言を非常に痛感した一戦でした。
7月に行われるジャパンチェスクラシックにも参加するつもりなので、出場される方はよろしくお願いします。
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