5/2(木)~5/6(月)に東京で行われた全日本チェス選手権に参加してきました!今年の3月に愛知選手権で権利を獲得して、全日本は今回が初出場でした。結果は残念ながら2Win3Draw4Lostで3.5/9pt。1~6RはDutch Defense(!)で中々稀有な経験になりました。全日本ということもあり今までの大会以上に相手が手強く、勝ち局面を何度かドローに、ドロー局面も負けにしてしまいました…。
今回はR3のY.T.さんとの対局を振り返っていきます。
R3 Y.T. – Araki
1.d4 e6 2.c4 f5 3.Nf3 Nf6 4.a3 Be7 5.Bf4 O-O 6.e3 d6 7.Nc3 b6
Dutch Defense: Classical Variation.基本的にダッチの構造では、黒の白マスビショップはe6,f5が邪魔して初期状態では使いづらい。そのためBb7からa8-h1ダイアゴナルで活かす方向になるが、白はそれを防ぐためにg3からフィアンケットして、黒にフィアンケットを組ませないようにすることが多い。その場合、黒はe5ブレイクから白マスビショップの活用を図ることになるが、今回は白がフィアンケットを組まなかったためb6,Bb7が指せて、e4地点を抑えにいく。
8.Bd3 Bb7 9.O-O Ne4 10.Bxe4 fxe4 11.Nd2 d5 12.Qg4 Rf6 13.cxd5 exd5 14.Rad1?!
11手目黒d5でセンターが取れて黒としてはプチ満足。とはいえまだセンターが強固に固められていないので、相手からのカウンターに気を付けなければならない。ポーン形が白黒逆のフレンチのようで、フレンチでは主にc5ブレイク、f6ブレイクが攻めの起点となり、この盤面でもf3ブレイクを危惧していたが、幸運にも相手はf3を指してこず、代わりにRad1を指してきた。12手目白Qg4で上がってきたクイーンはむしろ黒からカウンターを生み出す材料になっており、d1マスをルークで塞ぐことで、クイーンの行ける場所が少なくなっていた。(Qe2はBa6でエクスチェンジダウンのためあまり指したくない。)
14. … Rg6 15.Qh5 Bg5 16.Bg3??
黒のBg5は白から交換することができない。(16.Bxg5 Rxg5 でクイーンがどこにいってもエクスチェンジダウンが確定)しかし、本譜のように交換を避けても…
16. … Rh6 17.Qg4 Bc8 18.Qe2 Ba6 19.Qe1 Bxf1 20.Qxf1
SFの解析によると、16手目白の最善は16.Rfe1。エクスチェンジダウンを避けるなら確かにこの一手だが、後のf3ブレイクも考えると少し指しづらい…。何はともあれ、エクスチェンジアップに成功して盤面自体は黒有利だと確信したので、落ち着いてセンターを維持しつつ駒交換して相手のカウンターを防ぐ。(特にクイーン)
20. … c6 21. Ne2 Nd7 22.Nf4 Bh4 23.Qa6 Bxg3 24.hxg3 b5 25.Nb3 Qb6 26.Qa5 Qxa5 27.Nxa5
a6に侵入してきたクイーンをうまく閉じ込めクイーン交換に成功。FIDE2000近くの格上に対して、あまりにうまく事が運びすぎて対局中は動悸が激しかったです笑。しかし時間を少々使いすぎたのと、局面自体がクローズド寄りなので、黒有利とはいえエクスチェンジアップがあまり活かせなさそうと判断。
27. … g5 28.Nh3 Rg6 29.Rc1 Rc8 30.f3 exf3 31.gxf3 c5 32.f4 gxf4 33.Nxf4 Rxg3+ 34.Kf2 Rg5 35.Nb3 c4 36.Nd2 Nf6 37.Nf3 Rg7 38.Nh4 Rf8 39.Nf3 Kf7 40.Rh1 Ke7 41.Ke2 Ne4
色々捌いてポーン得に。キングの位置に悩み、変なメイトをくらわないように(cf.Japan Open 2023 R2 S.T.-Araki)キングをクイーンサイドに運ぶ。白のナイトの位置が絶妙で、中々ルークが相手陣地に入れない。むしろ白のルークはh1-h6から侵入できるため、ゆっくりしていては不味いと考え、41手目黒Ne4で攻撃を仕掛ける。(d5のポーンは浮くがすぐには取れない。42.Nxd5 Kd6でナイトかルークが落ちる。)
42.Rh6 Nf6 43.Nh4 Kd7 44.Nf3 Ke7 45.Nh4 Kd7 1/2-1/2 ??
キングと2ルークの位置がちょうどナイトフォークの位置にあり、下手な守備をすると逆転負けの可能性があり、分かりやすい攻めも見つけられず大量の時間差をつけられていたためここでドローオファー(??)。当時は格上に対してドローが取れたことに安心していましたが、今冷静に見るとそんなことする盤面ではないですね…。検討戦でも指摘されましたが、Rh6とルークが進入してきたことでカウンターでRg1!と入り込む手がありました。h7のポーンはナイトでうまく支えられているので、ゆっくり後ろからb2,a3のポーンを落とすだけで確実に勝てそうですね。
大会に出始めて1年ちょい経ちましたが、未だに格上とナイトフォークに対する恐怖がまだ根強いです。あと、大会全体を通して自分には攻撃力が足りないなということを痛感しました。オープニングも大会ごとに変えていましたが、Dutchはかなりハマった気がするので、しばらく研究してみようと思います。
これからもしばらく大きな大会(全日本Rapid、Japan Chess Classic、Japan Open)には出るので、参加される方はよろしくお願いします。<(_ _)>
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